気にしない母と気にする私。

放任すぎる母といじめに悩んでいた私の水掛け論。

気にする私と奴。①【呼び出しの刑】

捕捉

気にする私(小2)。
・親友がいた(家族ぐるみで仲が良く、赤ちゃんの時から一緒に育った大事な幼馴染だった)

ド田舎の小学校。
・同級生は10人ちょっと
・保育園までは近所の子供たちで遊ぶことが多く、不思議と地区毎にグループができる

奴。
・所謂ガキ大将(女だけど)
(今思えば保育園の時から「積み木拾ってこい」とか言われてパシられてたなーと思う)


***


 自分を嫌いだと言ってる同級生を見つけたら、8歳の女子がそいつを呼び出して30分以上問い詰めるだろうか?

 
 保育園児ながらにあまり得意でないと思っていた奴が向かいの家に引っ越してきたのが地獄の始まり。

 気にしすぎる兄の同級生が家に遊びに来ていた。兄たちと家の庭で遊びながら、小さい子によくある「好きな子誰?」「嫌いな子誰?」の話をしていた ら、ちょうど家から出てきた奴に聞かれていたらしい。
 
 兄たちがいなくなり、私が独りになった時に奴に声をかけられ、奴の家の裏に呼び出された。あの時のすーっと血の気が引いていく感じは未だに覚えている。

 奴の家の裏に着くと「私の何が嫌い?」の問い詰めが始まった。私は「ごめんなさい」と謝るしか出来なかったが奴がそれを許してくれるはずもなく、「何が嫌い?」と聞かれ続けた。理由を言うしかなく、流石に何を言ったか覚えてないが、子供ながらに必死に考えたのは覚えている。奴が怖すぎて、ずっと裏山に続く苔むした石壁を見ていた。

 どうやって奴の満足する答えを言ったかは覚えていない。足が痛くなるくらいにはずっと立っていた。解放されて家に帰ると、兄たちが家に戻って30分以上経っていたらしい。私は独り遊びが好きでよく外で泥遊びをしていたから、兄たちは庭にいると思って様子は見に来なかった。ド田舎で家の施錠をせずに寝るくらいには平和だったこともある。


***


 ここからすぐに奴のいじめが始まる訳ではない。私が気づいてないだけで始まっていたのかもしれないが。長閑すぎる田舎で育ったためか、いじめなんて起こらないと思っていたのかもしれない。私は完全にいじめられる原因を作ってしまった人間だ。しかし、何もしていない筈なのに、いじめられる様になった人もいるだろう。その話は後々、昔話が終わってからしようと思う。